仙台高等裁判所 昭和28年(う)82号 判決
所論は、被告人が二回に亘り選挙運動の報酬及び費用として供与をうけた合計金一万五千円のうち一万三千円は他の饗応費に費消したから現存する利益は金二千円に過ぎないのに、原審が被告人に対し金一万五千円の追徴を命じたのは違法であるというのである。しかし、選挙運動の報酬及び費用として不可分的に包括して自由処分を委ねられた金員中から任意に支出した分があつても、最初に不可分的に自由処分を委ねられて供与をうけた金員の性質は変らず、一旦収受した利益は追徴を免れないものというべきである。本件において、原判決挙示の証拠によれば、被告人が鈴木正人より供与をうけた前記合計一万五千円は選挙運動の報酬及び費用として不可分的に包括して自由処分を委ねられたものであり、そのうち他の饗応に費消した分は被告人が任意に支出したものであることが窺われるから、被告人からその金額一万五千円を追徴した原判決は正当であつて、所論のような違法は毫も存しない、論旨は理由がない。
(後略)